五人の王子に仕えしは
その時、私の携帯が鳴った。
思わずビクリと震えてしまったのが誰も居ないのにどうも恥ずかしい。
私は鞄から携帯を取り出し、恐る恐る通話ボタンを押して、
……そこから聞こえてきた声にほっとした。
『ちょっと鈴奈、どうしたの? なんか、クラス中が‘神崎様が何か小鳥遊とかいうやつをナンパした'っていう噂で持ちきりなんだけど』
「く、くれちゃああん!」
ていうか神崎‘様'と、小鳥遊‘とかいうやつ'って扱いの差酷くないか!? それに噂回るの早すぎでしょ! まだ一分くらいしか経ってなくない!? それともあたしの感覚がおかしいの!!?
もう、なんだか涙が滲んできた。酷い仕打ちだよ全く。
ぐす、と鼻をすすっていると、呆れたような声がかえってきた。
『れいな、今どこにいるの?』
「うっ……、西校舎の、トイレ…ぐすっ……」
『今行く』
プツリと通話が切れた。
くれちゃんほんとかっこいい。