五人の王子に仕えしは
遡ること昨日。
そう、事の起こりはつい昨日なのだ。
私は昨日、生きる糧となる物……、そう、モンハンを教室に忘れていた。
最後のHR中にモンハンをやっていたため、そのまま置いてきてしまっていたようなのだ。
モンハンとは、最近若い世代から支持を集めているアクションゲーム『モンスター×ハンガー』の愛称である。
死に物狂いで家から走って教室まで戻り、机の中から目当ての物を見付けるとそれを鞄に仕舞いさっさと家に帰ろうと私は踵を返した。
空は翳り始めている。
すると、丁度私がドアの方向を向いた時に、ガラガラと扉が開かれた。
こんな時間に教室に来るって事は私同様忘れ物だろうか。
ドアが開かれるとそこには
「あ」
私はピシリと固まった。
そう、あの美貌に見合う妖艶な笑みとあまーいヴォイスで世界中の女の子をトリコにしちゃう☆という妙な見解から魔界のプリンスという更に妙な二つ名を付けられている、謂わば学園の王子様的な存在の、神崎奏がそこにはいた。
今の説明でおおかた分かる様に、コイツはこの学園の誰もが知る超イケメン有名人であり、私の苦手な人物No.1でもある。
「あぁ、こんにちは小鳥遊さん」
と、そいつはニコリと人の良い笑みを浮かべた。
なんでこいつがこんな時間にいるんですかね。部活入ってたっけこの人?