五人の王子に仕えしは




 春川さんは、私の耳元から顔の位置を戻して私の顔の前に持ってきた。

 そしておや、と声をあげる



「……ああ、そっか」


 そう言っていつもの様な笑顔で笑うと、再び耳元に口を寄せた。


「……耳が弱いんだね」

「ひゃっ、ち、ちょっとっ」



 声が上ずる。
 もどかしい。芯がうずく。


「こうされるのが、一番イイんだ。……そう、言葉だけじゃいつも不満なのかな?」


 そう言って春川さんは私の耳を甘噛みする。


「っ……!」



 噛まれた身体がビクリと反応した。




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