五人の王子に仕えしは




 高い肩に腕を伸ばし、回す。

 また溜め息が聞こえたが、やらなきゃいけないから仕方無いの。


「行くよ! せーの」


 固い地面を軽く蹴る。
 歩幅が合うように、なるべく大股で。

 これがわりとキツい。


「いち、に! いち、に!」


 空の雲は先程よりも厚くなっていて、今にも雨が降りそうだ。グレーに淀んだ雲に心なしか生気を吸いとられていってる気がする。

 だからだろうか、今日はやけにお互いの足がばらつく。


「きゃ!」


 ザザッと砂が犇めき、また見事に転んだ。






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