五人の王子に仕えしは




「なに、酷いよ、それ」


「協力とか、息を合わせるとか、嫌いなんだよ」


 吐き捨てるように柏崎君は言った。


 ポツリ、ポツリと、音がする。


「ここまで熱心にこんな出来るのもアンタぐらいだよ。俺を巻き込むな」



 次第に強くなる雨音。
 くっきりとした円を地面に描き、やがて全てを染めていく。


 ぐさりと、その言葉は氷柱のように私に突き刺さった。



 痛い。


 雨に濡れた、傷が。





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