五人の王子に仕えしは
「……で、何か俺に用でも?」
蓮は頭を掻く仕草をして見せると、ひょいと立ち上がる。
普段から日当たりが悪いうえに、今日は空自体も真っ暗なのでこの空き教室は夜となんら代わり無いような暗さになっていた。
「話が有るんなら手短にお願いする」
興味が全く無い様にそう言う蓮に、無性に腹が立った。
「……お前、アイツに何したんだよ」
「アイツって」
「分かってんだろ、鈴奈だっつの」
その名前をきくと、蓮は露骨に面倒臭いと言うように目を伏せた。