五人の王子に仕えしは



 そして昼休みになった。


 別段体調が悪くもない私は保健室を出ていつもの教室に向かった。

 食堂へ向かう生徒たちでざわざわと騒々しい階段を登りながら、ふと思案する。


 ……あれ、なんで私空き教室に向かってるんだろう。
 考えてみれば今はあの五人の誰の目も無い。
前は理将さんにお姫様だっこ(公開処刑)で無理矢理連行されてたけど、今なら自由だ。



 でも私は、逃げようと思わなかった。



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