五人の王子に仕えしは
「別に大したもんじゃないから。余り物だから。お礼とかいらない」
「私にとっては大したもんだよ! ほんとにありがとう!!」
私が頭を下げてそう言うと、柏崎君はそっぽを向いてしまった。
……あれ、なんか、照れてる?
柏崎君の耳が心做しか赤い気がする。
そしてそれを誤魔化すかのように「あっそ」と吐き捨てるとすたすた歩いていってしまった。
「悪かった」
って、後ろから聞こえた気がして思わず振り返れば、もう角を曲がったようで柏崎君は見えなくなっていた。
あれ、柏崎君あんな良い人だったっけ。