五人の王子に仕えしは
ちょっと離れると、校庭の喧噪が嘘の様に閑散としている。
なので勿論、水飲み場もフリーだ。しかも丁度影なのでわりと涼しい。
裏庭なのであまりちゃんと手入れはされていないのか、小さな花壇では力無く花が背を折っていた。
石造りの台に乗り、なんの変哲も無い蛇口を捻ると冷たい水が元気に溢れ出る。
ただの水道水なのに、疲れた体にそれは染み渡り指先まで癒される気分だ。
さっきの借り物競争で大分疲れてたんだよね、色んな意味で。
「……ぷはっ」
取り敢えず身体を潤し終わったのでもう大人しく自席に戻ろうかと思ったところ、校庭側から誰かが歩いてきた。
珍しいな。