五人の王子に仕えしは
互いの騎馬がじりじりと詰め寄り、相手の出方を伺う。
緊張した雰囲気が漂い、応援の声も切羽詰まった様に盛り上がってきた。
「さぁて、ついにラストとなりました! 王将の林選手、篠崎選手、互いに睨み合っております!!」
途端、その張り詰めた糸が切れる様に強い風が吹いた。
「……っ!」
すると、その風に巻き上げられた砂が目に入ったのか、林の騎馬の前方がぐらつく。林もそれに驚いた様に息を詰まらせた。
その瞬間を、見逃さなかった。
「今だ、和真! 突っ込むぞ!!」
俺は精一杯叫んだ。砂に目を潰されない様用心しつつ、ずんと騎馬を進める。