五人の王子に仕えしは







「せんぱいー」


ゆるっとした声で呼ばれ、声の方向を向けばそこには花折君がいた。まあ花折君以外誰がいるんだって話なんだけど。


「花折君、選抜リレーお疲れ様」
「ほんと……も、俺むりです、疲れた」



そう、花折君は花折君で下の学年の選抜リレーでアンカーをしていた。まあ学年対抗ではないので私たちとは戦わないんだけど。
花折君は凄く寡黙で何もかもダルそうに見えるが、そこそこ運動神経は良いらしい。短距離は特に。
ただ体力、根気勝負になった途端女子くらいまで運動技能は下がるって誰かが言ってた。


「もー……動きたくない……」
「でももう花折君出る競技ないでしょ?」
「ん、そう……かも。先輩は?」
「招集場所なうだよ。柏崎君と二人三脚」



私がそう言うと、花折君の表情が少しだけ不機嫌に歪んだ気がした。本当に微妙な変化だから、私の勘違いかもしれないけど。

それっきり花折君は黙りこくってしまった。

えー……なんか怒らせる様なこと言った私? いや、言ってないよね?





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