五人の王子に仕えしは




花折くんは私の腕ごと手に取りまじまじとブレスレットを観察していたが、ふいにその腕を解放して不機嫌そうに言葉をこぼす。


「……蓮さん、ですよね」
「うん」
「ふぅん、まあ……いーですけど」



花折君はそう言い残して去りかけたが、なにかを思い出したようにこちらに戻ってきた。




「先輩、」
「っえ」


名前を呼ばれたと同時に腕をぐいと引かれる。

そしてそのまま花折君は私の後頭部にその大きな手を回し引き寄せると、私の髪にキスを落とした。


……え、キスを落とした!?




< 341 / 366 >

この作品をシェア

pagetop