五人の王子に仕えしは





「えっ、と」



とりあえずその言葉の真意を確かめようと口を開いた。
その時。



「招集場所でいちゃつくのやめろ、うっざい」


後ろからそう言って登場したのは、



「あ、柏崎くん! よかった、やっときた」
「やっとって、まだ全然他の生徒も集まってねーじゃん。リレーに釘付けだろ特に女子」


うざいとでも言うように女子、を強調してそういうと、不意に視線を下に移した柏崎くんはびっくりしたように瞠目した。


「お前、それ……」


それ、と指で示されたのは多分ブレスレット。答えようと口を開きかけたけど、それを遮ったのは花折君だった。
その表情はこころなしか険しい。


「ね……蓮さん、鈴奈先輩…好きなの」


これまた爆弾を投下する花折君。
待て、柏崎くんにそんな分かり切った質問しないで欲しい、逆に怖いから!



「んなわけねえだろ」



はい、わかってたことです。

でもなお、花折君の表情は晴れない。



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