五人の王子に仕えしは





第1レースが終わり、第3レース、第4レースと続いて、ついに私たちの出番だ。

緊張して妙に震える足を叱咤して、レーンに並んだ。

審判の指示に従って襷で柏崎君と、私の足首を繋ぐ。そうしていると、なんとなく今までの練習の日々が思い出された。


最初は来るの遅かったなあとか、初めてくっついた時は緊張したなあとか、あとは、喧嘩した時の事と、この、ブレスレットのこと。

改めてキラリと光る手首のブレスレットを見ると、胸がじんと熱くなる。


「……おい、何やってんだよ、とっとと結べ」
「あ、ごめん!」


思い出に浸っていたらどうやら手が止まっていた。
促されたようにパパッと結んで立ち上がった。

「なんだよ、緊張してんのか?」
「……してない」
「ばーか、こんなとこで嘘ついて何になんだっつの」


バシッ

柏崎君が呆れたように笑って、私の頭を叩いた。

痛い!と咄嗟に叫びかけたが、柏崎君の初めて見る様な笑顔に、声は喉でつかえて止まってしまった。


笑った顔の方が、全然良いじゃん。





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