五人の王子に仕えしは
「ぷはっ」
そう思ったところで、ようやく唇が離れた。頭がぼうっとして、奏君が支えてくれてなかったら、きっと倒れてるだろう。
なんで、こうなったんだっけ。
足りない思考で1つ1つ遡っていく。
「鈴奈……お前、もういいよ」
「…へ?」
「あいつらの彼女、やめろよ」
目の前を見れば、未だに近い奏君の顔。視線を返せば、ぎゅうと抱きしめられた。
身体が、奏君でいっぱいになる。
そして、いつもとは違って少し甘える様な声音が、私の耳元で囁かれるように響いた。
「 」
どくんと、心臓が揺れた。