五人の王子に仕えしは







 昼休みになって、いつも通りの空き教室で五人集まる。
空き教室故、空調も悪くムワッと暑苦しいので、和真君なんかは「あちーよ!」と言ったのを最後に干からびてた。水ぶっかけたら起きた。



「あれ、司咲がお茶飲んでるなんて珍しいね。どうしたの?」


 理将さんが目敏く気付いて問う。
司咲くんは、私の隣でそのお茶を両手でぎゅうとずっと持っていて、ちびちび大事そうに飲んでいた。


「これね…へへ、鈴奈せんぱいが、くれたの……おれに」
「鈴奈ちゃんが?」
「うん……おれがね、体育でツラそうにしてるの、見てたんだって…教室まで、届けに来てくれたの」


 司咲君はそう言ってふにゃと笑った。

前はずーっと真顔だったのに最近良く笑う様になったなあ。なんだか親の気分だわー。
そんなに嬉しいならお茶なんていくらでもあげるのに!


「鈴奈せんぱい、だいすき」



 司咲君はそう言って私の頬にキスをした。

司咲君は猫みたいにじゃれてくるところがあってそれにはもう慣れてるから別にほっぺキスくらい気にならないんだけど。


ガンッ!!


あたしとは違って気になるらしい奏君が、壁をぶん殴った。

校舎倒壊するからやめてくれ!


「おいやめろ奏。正直めちゃくちゃウゼェのは分かるけど抑えろ」


 蓮くんがそう言って奏君を宥める。


 男の人って血の気多くて怖くない?





< 366 / 366 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:21

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop