五人の王子に仕えしは
時刻は7時15分。急げば間に合うけどわりとやばい。着替えなきゃ。
「小物にも色気無いしなあー」
「…………」
「あ、このマンガ俺全巻持ってるぜ」
「…………」
「足の踏み場すらねえじゃん」
「……あの和真くん」
「えっ……、は?」
和真君は呆けた顔でこちらを見た。
なんだよその顔は。
本当にぽかんと言う言葉が似合う顔だ。
なんと言うか、アホ面。
まあ、とにかくこっちは急いでるんだ。
「えっと、和真く……」
「ちょ! 待ってストップ!!」
うるさいな。
急いでいるのを知っているかのように私の言葉を遮ってくる。
そして何故か和真君の顔はみるみるうちに耳まで赤く染まっていった。