五人の王子に仕えしは



「……何?」


「あ、あの、さ、俺の苗字わかる?」

 アホか。

「篠崎でしょ」


「え、まじか……じゃあなんで、下の名前で…」


 なんなのこの人……! 後半ごにょごにょ言っててなんも聞こえないし。
 面倒臭い。合ってるよね苗字?


「……あのさ和真君着替えたいんだけども」


 私がそう口にすると、和真君の顔は更に赤くなった。


 赤面症なのだろうか。


「……あっ、そ、その……ッゴメン!!!」

「うわ」



 和真君は堰を切った様に走って私の部屋を飛び出した。プリントで足を滑らせながら。


……ほんと何。



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