五人の王子に仕えしは
そうまじまじと見つめていると、花折君は眉をひそめて私を見た後、するりと横を通りすぎて行った。
「……無視かよ!!」
「は?」
私が振り返り叫ぶと、花折君はこちらを振り返った。
その眉は相変わらず顰められている。
「誰すか……あんた」
「はい?」
誰っておい、昨日ごたごたがあったろうが!!
……あ、でも忘れられているならそれはそれで都合良いや。
そう思い直し、私は人違いでしたーとかテキトーに言って踵を返した。