五人の王子に仕えしは
るんるんしながら廊下をスキップしていると、後ろから誰かの気配が近付いた。
「鈴奈ちゃん」
「きゃあ! だ、誰……?」
その瞬間後ろから抱き締められて思わず飛び上がった。
一気に甘い香りに包まれて戸惑いを抑えられない。
甘いっていっても神崎クンよりはすっきりしているけどね。
「声でわからない? 残念だなあ」
「あっ、え、えっと、春川さん?」
「当たり」
春川さんの声と吐息が必然的に耳に触れる。
な、なんか身体が熱くなってきちゃった。
「っていうかいつまで抱き締めてるんですか!!」
そう言って私は身をよじってその腕から逃れようとする。
その時、春川さんがクスと笑った気がした。
そして……
「ぇっ……! ちょ、春川さん!?」
「ちょっとだけ、静かにしてて?」
春川さんはニコリと笑う。
春川さんに私はひょいと持ち上げられ、……要するにお姫様抱っこされたのだ