五人の王子に仕えしは



「ハッ、無い胸揉まれたくらいでうだうだ言ってんじゃねえよ」

「黙って神崎クン」

「だから奏だっつってんだろうが」

「やだ! 呼びたくない!」

「ハァア?」


 神崎クンが明らかに眉を寄せる。


 私は負けないぞ!
 死んでも奏なんて呼んでやるもんか。


「じゃあなんで和真は和真なんだよ」


 神崎クンにそう言われ、そういえばと少し考えた。

「うーん……親しみやすかったから?」

「ま、まじで? 俺親しみやすいの?」


 ていうか和真君はなんでさっきから顔真っ赤なんだろうか。


「まさか和真に限ってねえ」

 クスクス笑いながらそう言ったのは春川さんだった。


「……と、いうのは?」




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