五人の王子に仕えしは


「もう神崎クン嫌い」

「そりゃどーも。俺のが大ッ嫌いだけどな」

「絶対私のが嫌いだよ」

「……ほんとウザいなお前」

「っひゃ」


 そう言うと神崎クンはペンを置き、私の後頭部をぐっと引き寄せた。


「え、なにっ……やめて」


 睫毛が触れる距離。最近よく香る甘い香り。


「いつかそのうるせぇ口、聞けなくしてやるから」


 そう言い神崎クンは私の額にキスを落とした。


「ひっ……!」


 柔らかい唇が、額にチュッとわざとらしく音をたてたのだ。
 奇妙な感覚に恥ずかしくなって神崎クンを突き飛ばした(結果突き飛ばせなかったが)。


「ぎゃああああぁ奏様ああああ!」

「おーいお前ら、いちゃつくのは授業後にしろー」

「すみません先生、鈴奈が我慢出来なかったらしくて」

「小鳥遊、ほどほどにしとけよ」

「信じられない、あの女……!」

「奏様を誘惑したの!?」




 いやいや、私何も悪くない……よ!?




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