ナルシストの華麗なる恋愛講座
そして放課後。
私は後ろの背後霊(成瀬)を無視して、下足箱から靴を取り出す。
その際に落ちた、数枚の可愛らしい便箋を拾い、鞄に入れる。
「ああああの、王子!さようなら、ですっ」
「え、ああ、うん。バイバイ」
顔を真っ赤にした、せの小さな女の子に挨拶され、会釈と共に一言添えて返した。
「葉月葉月!なぜ僕を無視するんだい!?」
眉を悩ましげに寄せ、駄々っ子のごとく付きまとう背後霊(成瀬)。
「アンタがムダにキラキラしていてウザイから」
「キラキラ?」
「アンタの雰囲気が見せる幻覚だけど、アンタの背後にバラとかキラキラが見えるの」
首を傾げる成瀬は
「葉月は薔薇がキライなのかい?」
と訊ねてきたから、私は少し上の位置にある成瀬の顔を見上げて言った。
「…背負うもんじゃないでしょ」
目にイタいわ。
すると、成瀬は顎に指を当てて何かを考え出した。
私はというと
小さな花屋の隣にあるコンビニを見つけた。
そういえば、麻美さんに
『今週発売の雑誌、買ってきてくれない?お金はあげる!余ったら、好きなの買って良いわよー?』
って言われてたっけ。
私は雑誌を買うために、コンビニへ足を向ける。
「葉月!コンビニへ行くのかい?」
「うん」
「じゃあ僕は外で待ってるよ」
「分かった」