ナルシストの華麗なる恋愛講座
何故だい何故だい!と、私の席の後ろで騒ぐ成瀬。
なんで前に来ないかというと未央がいるから。
感謝するよ、未央。
なんかポーズ決めてるナルシとか、朝から見たくないわ。
「ねぇ何故だい葉月!読んでくれたまえよ!」
「アンタ、クラス違うでしょ。早く戻れば」
私の肩を掴んで懇願してくるけど、スルーの方向で。
「僕の澄みきった湖のような純情な想いを手紙に綴っているのだよ!」
「早く戻れば」
「僕に似合うような美しい言葉を厳選しているのだよ!?」
「だから読みたくないんだって。早く戻れば」
「葉月への愛の科白が――」
「黙れ早く戻れ。先生来たよ」
私の言った言葉に
さっきまで私とナルシのやりとりを見て苦笑いしていた未央は「やばっ」と言って席に戻った。
私のクラスの担任教師である館林(タテバヤシ)先生が、朝のホームルームを始めるためにクラスに来た。
「全員いるかー?って、成瀬!お前は自分のクラスに戻れ!何しに毎日毎日うちのクラスに…」
「愛しの葉月に逢うためなのだよ!」
「……お前も大変だなぁ、王子」
「林です。分かってくれますか先生」
館林先生は『林つながり』ということで良くしてくれている先生だ。