ナルシストの華麗なる恋愛講座
私は
ため息一つして、帰路に着く。
そうすると、成瀬は私の少し後ろをついて来る。
「ちょっと付いてこないでよナルシ」
「僕の名前は成瀬なのだよ!葉月なら『風』って呼んでくれてかまわないのだよ!寧ろ呼んでくれたまえ!」
「黙れナルシ」
速度を上げてスタスタと歩くも、やはり付いて来るナルシ。
時々なんかポーズ決めてるけど。
ヤダ本当に付いてこないでよ知り合いと思われたくないから。
「夕陽の光を浴びる僕……あぁ、なんて美しいんだ!」
「帰ってください切実に」
ぐだぐだ話しながら、結局私の家の前まで来るナルシ。
私がポストからラブレターを取り出すのを見ている。
「…何か、アンタからのが混じってるんだけど」
「そうなのだよ!通算126回目のラブレターなのさ!」
「迷惑!」
そうか、コイツは私が成瀬の手紙を発見する瞬間を見たかったのか、と思う。