ナルシストの華麗なる恋愛講座
「では、僕は帰るのだよ!あの美しい夕陽のある方向に!」
「いっそ、土に還れ」
私が門を閉めるのを確認して、成瀬は穏やかな笑みを浮かべ「また明日」と言った。
玄関のドアを開けて、家の中に入ると
「おかえりー。今日も、あの子来てたわねー。本当に付き合ってないの?」
「ないね」
母である、麻美(アサミ)さんが居た。
ポッチャリしてるけど、雰囲気が柔らかく、可愛い。
いや、四十過ぎに「可愛い」は可笑しいのかな?
「それにしても」
「ん?」
「今日もモテモテねー葉月ちゃん」
「は、ははは」
私の腕の中にある
ゆうに二十枚は越えているラブレターを見て
麻美さんは、頬に手を当てて、ウフフと笑っている。
……苦笑しかできない。