ナルシストの華麗なる恋愛講座
女の子の小さく丸っこい可愛い字の手紙に混じって、成瀬の、綺麗な字で書かれた手紙。
……便箋がバラ柄とかどん引きなんだけど。
私が眉間にシワを寄せながらも、手紙をまじまじと見ていると
「えいっ」
「え、ちょっ…」
麻美さんが私の手から手紙をとった。
よりによって成瀬のを。
「えーと、『僕は葉月に心を奪われているのだよ。女神のごとく美しい葉月を』」
「わーっ!」
「なによー」
成瀬からのこっぱずかしい手紙を読まれるのは、私の羞恥心が堪えられない。
私は、手紙を半ばひったくるように取り戻した。
ちら、と麻美さんを見ると
……盛大にニヤけていらっしゃいました。
「わ、私二階に上がるから、夕飯の用意出来たら呼んで!」
「あらあらー、照れちゃって。分かったわー」
照れてないし!
という意味を込め
リビングのドアを派手な音をたてて閉めた。