冬に降る涙の雨。


「んじゃ、行って来ます。」

玄関先でスーツ姿のカナちゃんが靴を履いている。


わかった。

私たちが出会ったあの日、カナちゃんはスーツを着てたっけ。

学校、スーツで行ってるんだ。


「あれ、マコ、ちゅーは?」



は……?



「“行ってらっしゃい”の、ちゅー」

は…………?!

なんか、キャラ変わってない!!?
だいたい何?!


“行ってらっしゃいのちゅー”!!?


カナちゃんの思ってもいなかった言動に、戸惑い、テンパる私。


「何照れてんの?冗談だよー」


そう言ってイジワルに笑ってドアを開けるカナちゃん。

「い、イジワル…///」


「はいはい、行って来ます」

「……行ってらっしゃい。」




なによ、もう……




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