冬に降る涙の雨。
テレビでも見ようかとリモコンを握った途端、
ピンポーン………
玄関のチャイムが鳴り響く。
私は久しぶりの来客……って言うか怪しいカナちゃんに胸を踊らせながら玄関に向かった。
ガチャン。
「……あれ。」
誰。この人。
目の前にいる人は黒のスーツを着こなしていて、髪の毛はワックスで後ろに流してあった。
カッコいい人だなぁ。
なんて感心しながらその人をジロジロと見る。
「……どちら様ですか」
私がその人に問いかけると、“ぷぷぷ”と笑われた。
は……?
「“カナちゃん”と申しますが…」
含み笑いをしながら答える彼。
“カナちゃん”………?
カナちゃんって、さっきの怪しいカナちゃんだよね……?
「迎えに来ました」
そう言って手を差し出す彼。
本当にカナちゃんなんだ。