冬に降る涙の雨。

それからアパートの駐車場に行くと、黒塗りの車が停まっていた。

「怪しすぎるんだけど」

カナちゃんに言うと、カナちゃんは“ははは”って笑った。

「俺が真っ赤なスポーツカーに乗ると思う?」

「思わない…ってか、似合わない。」

素っ気ない私の言葉。
そんな言葉にもカナちゃんは笑うんだ。

「だろ?」って。


後部座席に乗ろうとすると、カナちゃんが“ストップ”って言った。


「……?」

「マコは助手席。キャリーバッグが後部座席。」

そう言うと、カナちゃんは私のキャリーバッグを後部座席に積んで助手席の扉をあけた。


「……ありがと」

私はそう言ってから車に乗り込んだ。



本当、何やってんだか。
見ず知らずの男の車にホイホイ乗って。





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