冬に降る涙の雨。
「カナちゃん……何で名前も知らなかった私なんかに“家においで”って言ったの…?」
「理由はね、たくさんあるんだよ……」
そう言って悲しそうに目を伏せるカナちゃん。
「…言えないの?」
本当は無理矢理にでも聞き出そうって思ってた。
だけど、カナちゃんのあんな顔見ちゃったら何も言えないよ……
カナちゃんが“言えない”って言うなら私は聞かない。
カナちゃんは、私を孤独の世界から助けてくれるみたいだから。
カナちゃんは、私なんかをちゃんと見てくれるから。
「……今は言えない。だけど、いつか必ず言う日が来る。」
私を見据えて答えるカナちゃん。
“いつか必ず言う日が来る”……?
どういう意味……?
さっぱり分からない。
………カナちゃんは、謎すぎるよ。
だけど、気になるけど……
カナちゃんにそんな顔されたら、聞けないよね。
「……分かった」
私は静かにカナちゃんに答えた。