冬に降る涙の雨。


「……上がったよ」

リビングのソファーでテレビを見ているカナちゃんに声をかけた。

「お、予想より早かった。」
顔だけコチラを向けてニッと笑うカナちゃん。


その笑顔は、本物?
………それとも、ニセモノ?

多分、ニセモノ。
目が、笑ってないから。

カナちゃんは、きっとたくさんのものを背負ってる。

そんな、瞳をしてるから。


「髪、乾かしたらマコはもう寝て。おやすみ」
私の頭をポンポンとするカナちゃん。

「ん…おやすみ」
お風呂場に向かうカナちゃんの背中は、なんだか寂しそうだった。


「……ドライヤーの場所、知らないし。」
仕方ないので、カナちゃんがお風呂から上がるまで待つことにした。


ソファーに身体を預けて、先ほどまでカナちゃんが見ていたテレビに目を向ける。


それは、深夜の音楽番組だった。
この曲、好きだなぁ……

なんて考えてるうちに、睡魔が襲って来る。


「…ちょっとだけ…」
そう言って私は目を閉じた。




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