冬に降る涙の雨。


それから暫くすると、ガタンと言う音が聞こえた。

カナちゃん、上がったんだ。
……起きなきゃ。

そう思うのに身体が言うことを聞かない。
思ってたより、疲れてたのかな。

「髪、濡れたまんまじゃん。……って、ドライヤーの場所、言わなかったもんな。」
カナちゃんの声が聞こえる。
「…仕方ない…」

そう言っていなくなるカナちゃん。
嫌、行かないで…!!

1人に、しないで……!!

バッと起き上がる。
「カナちゃん……………」

「あれ、起きちゃった?」

そう言うカナちゃんの手にはドライヤー。

良かった。
いなくなっちゃうのかと思った。


何でだろう。
カナちゃんが居ないと、すごく心細かった。不安だった。


「マコ、おいで。乾かしてあげる」
そう言ってソファーに腰掛けたカナちゃんは足を開いた。


そこに座れと………?


何だか緊張しながらもカナちゃんの足の間に座る。


「よし、良い子。」
そう言って笑うカナちゃんは、やっぱり悲しそうだった。



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