冬に降る涙の雨。


「なんか、意外な私服だな」

玄関で座り、先に靴を履きながら私を見上げるカナちゃん。


「い、意外…?」

どこか変なところでも……?
私は自分の服装を確認する。

別に、変じゃないと思うけど………


カナちゃんをチラリと見ると、カナちゃんは口角を少しあげた。


「可愛いってこと。」


イタズラっぽく言うカナちゃんに、ちょっとだけドキっとしたのは秘密。


「もっとクールな感じかと思った。」

付け足すように呟いたカナちゃん。

それからそそくさとハイカットスニーカーを履いて玄関扉に手をかけるカナちゃん。

は、はやっ……!!

私は焦って靴を履こうとする。
……だけど。


「………」


私が持って来たのはこの靴。
普段履くなんてもってのほかな靴。


私が立ち尽くしてるのに気づいたカナちゃんは、不思議そうに足元をみる。

「あ……ローファーだ。」


そう。
ローファーだ。




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