冬に降る涙の雨。
「さすがにそれじゃ、出かけらんねーな」
なんだか楽しそうに笑うカナちゃん。
だけどやっぱり笑ってない。
目が、笑ってない。
端からみたら楽しそうに笑ってる。
だけど、私には分かるよ。
なんでだろうね。
ある意味、他人だからかも知れない。
「これ、貸すから。あ、汚くないからね?」
そう言って玄関にあった戸棚をあけ、小さめのスニーカーを出すカナちゃん。
それでも私にはブカブカだった。
「買い物って、どこらへんまで?車で行くの?」
玄関の鍵をしめているカナちゃんに尋ねる。
「ん?あぁ。そこだよ、そこ。」
カナちゃんは私の向こうを指差す。
指差した先を見るために振り返る。
すると、視界に小さなストアのようなものがうつる。
あそこで買うんだ。
結構近いし、カナちゃんちの冷蔵庫に水しかないのもちょっとだけ納得。