冬に降る涙の雨。


それから、5分もかからずにストアに着いた私とカナちゃん。


「カナちゃん、好きな食べ物は?」


何か好きなものを作ってあげようと思って、カナちゃんに尋ねる。

すると、
「笑わない……?」


遠慮がちにして答えないカナちゃん。

「私が腹かかえて笑うとでも?」
冗談混じりに言ってみたら、カナちゃん案外納得してる様子。


マジか………


「……ぅ…」

「う…?」




「に、肉じゃがと………ハンバーグ。」


うつむきながら答えるカナちゃん。
“ハンバーグ”か。

子どもっぽいから気にしてたり……?


「りょーかい」


私はそう言うと、慣れもしないストア内を歩き回りながら食材などの必要最低限のものをカゴに入れた。



そして、レジについて気づいた。

お金、足りるかな………
カナちゃんに家から連れ出された時、月末に近かったことから国からもらっているお金もそこをつきそうなほど。


そんな風に不安に思っていると、後ろからスッと手が出てきた。




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