冬に降る涙の雨。




「…3000円のお釣りです、ありがとうございました。」


後ろから出て来たのはカナちゃんの手。
カナちゃんは私が選んだ食材のお金を支払ってくれた。

「……なんか、ごめん」

つい、謝ってしまった。
なんだか悪いな。

私、自分で買う気だったから何も気にせずカゴに放り込んでしまった。

「やっぱり、マコは優しい子だね」

急に嬉しそうにするカナちゃん。
は………?
今、優しい要素とかあった……?


「…“ごめん”より“ありがとう”がいいな。」

カナちゃんがそんな風に言うもんだから、私は思わず“ありがとう”なんて言っちゃった。



「さ、ご飯でも食べに行こうか」

そう言って私の手を引くカナちゃんの右手。

その反対の手には、ビニール袋が提げられていた。


荷物持ってくれてたんだ……


気づかなかった。





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