冬に降る涙の雨。


「ううん。……何でもないっ」
そう言って振り返ったカナちゃんは、いつもみたいに笑っていた。

ただ、やっぱりそれはニセモノで。


やっぱりカナちゃん、何か隠してる。
私に、言えないことを言いたくて我慢してるのかもしれない。

きっと、そうに違いない。

私は一人で考えて、そう思うことにした。

「……カナちゃん、私、決めた」


私の真面目な声色に、カナちゃんの表情も固まった。


「なに、を?」

「……私、何も聞かないから。」

「…っ」
ビックリしたようなカナちゃん。

「……カナちゃんが話してくれるまで、待つから。


無理やり聞いたりしない。
だから、笑って?

笑えない理由が、あるのかも知れない。
でも、私は笑ってるカナちゃんが好き。
例え、それがニセモノの笑顔でも。
私には分かるから、ニセモノがどうかくらい。」


「………マコ…………」







< 49 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop