冬に降る涙の雨。
「ううん。……何でもないっ」
そう言って振り返ったカナちゃんは、いつもみたいに笑っていた。
ただ、やっぱりそれはニセモノで。
やっぱりカナちゃん、何か隠してる。
私に、言えないことを言いたくて我慢してるのかもしれない。
きっと、そうに違いない。
私は一人で考えて、そう思うことにした。
「……カナちゃん、私、決めた」
私の真面目な声色に、カナちゃんの表情も固まった。
「なに、を?」
「……私、何も聞かないから。」
「…っ」
ビックリしたようなカナちゃん。
「……カナちゃんが話してくれるまで、待つから。
無理やり聞いたりしない。
だから、笑って?
笑えない理由が、あるのかも知れない。
でも、私は笑ってるカナちゃんが好き。
例え、それがニセモノの笑顔でも。
私には分かるから、ニセモノがどうかくらい。」
「………マコ…………」