冬に降る涙の雨。


「…で、何すればいい?」

カナちゃんは気合いを入れたみたいで、どこから持って来たのか、エプロンまでしていた。

「じゃあ、ジャガイモ洗ってもらおうかな?」

「はーい」

それから、お互いに黙々と作業を続けた。

……つもりだった。

「よし、これでお味噌汁はOKで、ご飯ももうすぐ炊けるね。」

あ、肉じゃがのこと忘れてた。


「カナちゃん、洗い終わった?」
チラリと流し台にいるカナちゃんの手元を覗き込む。


「は!?」
「…はは、ははは…」

何、コレ。
「…何も進んでないじゃん!!」

思わず、つっこんじゃったよ。
ひ、ヒドい。

ここまで何も出来ないなんて……


カナちゃんの手元には、土まみれのジャガイモが3つ。

洗うだけも無理なんだ……




もしかして……
いや、もしかしなくても…
不器用だよね、うん。





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