冬に降る涙の雨。
「マコ、そろそろ行くよー?」
突然、扉の向こうからカナちゃんの声が聞こえた。
「え…うん」
私は立ち上がり、扉に手をかける。
「「…あ。」」
私が扉を押した途端、カナちゃんが扉を引いたので有り余ってしまった力が、カナちゃんへと押し寄せる。
……私は、カナちゃんの胸の中にすっぽり収まってしまった。
「……っ!!//」
初めて触れる、男の人の胸板。
耳が胸に当たっているから、カナちゃんの心音が聞こえる。
ど、動悸が………っ!!
「……わりぃ。」
そう言いながら、私の背中に手を回すカナちゃん。
は……!?
え!?なにごと!?
なんで、抱きしめ、られてるの……?
あぁ、カナちゃんの匂いがする。
暖かくて、優しいカナちゃんの腕の中。
ドク、ドク。
カナちゃんの心音。
心地よいリズムで刻む心音に比べて私は………超高速。
カナちゃんに、聞こえちゃいそうで怖い……。