冬に降る涙の雨。
カナちゃんが運転席に乗り込み、エンジンをかける。
カナちゃんが乗ると、この黒塗りで怪しい車もちょっとカッコよく見えたりして。
って、そんな事考えてる場合じゃない!!
「どこに行くの?」
私は単刀直入にカナちゃんに尋ねた。
「んー。内緒?」
ハンドルを握り、首を傾げるカナちゃん。
な、内緒って………
更に緊張するじゃん…っ!!
でも……
でも、何で教えてくれないんだろう。
緊張に負けないくらい、不安になった。
“内緒”
そう言われただけで、悔しかった。
悲しかった。
……カナちゃんとの距離を感じた。
カナちゃんは、そんなつもりで言ったんじゃないかもしれない。
ううん、言ってないのはわかってる。
わかってるのに、心が負けそう。
悔しさと悲しさと、虚しさで、胸がいっぱいになった。
私は唇を噛み締めて、ガマンした。
出てくるな、涙。
耐えろ、耐えろ自分。
笑え、辛い時こそ笑え。