冬に降る涙の雨。
――――ポス。
「え…――?」
突然、頭の上に置かれた手。
カナちゃんの、ちょっとだけ冷たい手。
「不安に、なった…?」
カナちゃんの少し掠れたハスキーな声。心配そうな声。
「……っ」
ダメ、今優しくされたら、ダメだよ。
涙が押し寄せる。
私は精一杯、涙をこぼすまいとしながら小さく頷いた。
困らせる、つもりなんてなかった。
頷くなんて、想定外の行動。
「…大丈夫。殺したりなんかしない。―……ごめん、だから、泣かないで?」
気づいたら、頬を涙が伝っていた。
私は必死に涙を拭う。
「こ、殺されるなんて、思ってない。……ただ、ちょっと不安になっただけなの。」
「……マコ。」
運転しながら、困ったような顔をするカナちゃん。
どうしよう。
困らせた。