冬に降る涙の雨。

「…では、よろしくお願いします」

「はい、任せて下さい。」


2人とも敬語で話してて、とても穏やかな光景………の、ハズなんだけど。

なぜだか、空気が重い。
重いっていうか……なんていうか。

2人が知り合いなのは分かったけど…
もしかして、不仲!?

いやいや、早乙女さんカナちゃんのこと“カナ”って親しそうに呼んでたし……

うーん……
やっぱり、カナちゃんは謎だらけ。


「さ、帰るぞ」

右手に紙袋を抱えたカナちゃんが話しかけてきた。

あ、荷物、持たせちゃってる…!!

「…か、カナちゃん!自分で持つよ!!」
カナちゃんの手から紙袋を奪い取ろうとしたけど、ダメだった。

「…バカだなぁ、マコは。」
そう言って、目を細めるカナちゃん。

“バカだなぁ”
そんな言葉に、どこか嬉しさを感じる私って……M、なんだろうか。

「……そういうのを持ったりするのが、男の役目だろ?」

カナちゃん、今サラッとカッコいいことを言った気がする。

なんか、そういうの言えるとこがすごい。



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