冬に降る涙の雨。


「…ありがとう。」
それ以上、言えなかった。

こんなに良くしてもらって、いいのだろうか。

私ばかり、嬉しい思いをしている気がする。
私ばかり、楽しい気がする。


カナちゃんは、嬉しい?楽しい?
あまり感情を露わにしないカナちゃんだからこそ、不安になる。


「…あ、マコ。あんまり早乙女に関わんなよ?アイツ、スケベだから」

笑いながら話すカナちゃん。
冗談か、本気か。
カナちゃんは分かりにくい。

「言っておくけど、アイツ、俺の幼なじみね。」

なるほど。
だったら、さっきの空気にも納得だ。

仲良し、ってことだよね。

「早乙女さんと、仲良しなんだね」
つい、思っていたことが口からでてしまった。



「な、仲良し…じゃないっ!!」

必死に抵抗するカナちゃん。
だけど、照れ隠しにしか見えないよ。

ふふ。
カナちゃんらしいな。



< 88 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop