冬に降る涙の雨。
「ほら、帰るぞ」
私の頭をポンポンと優しく叩くカナちゃん。
「ん…。」
また、無口になる私。
ダメだ。
私、カナちゃんのポンポンに弱い。
身体中の力が抜ける感じ。
カナちゃんが触れた場所はジンジン熱くなるし、痺れちゃう。
カナちゃんが、頭をポンポンってしてくれたら舞い上がっちゃう。
何より、安心するんだ。
カナちゃんの暖かい手は、言葉は、行動は。
たくさんの“嬉しい”とか“暖かい気持ち”とか“やさしさ”をくれる。
カナちゃんが“魔法使いだ”って言ったら、これまでにないくらい納得できるだろう。
それくらい、私の中でのカナちゃんの存在は大きなものへと変わっていた。
気づかない間に、どんどんどんどん、音もたてずに大きくなる気持ち。
私はいつまで、こうしていられるだろうか。