冬に降る涙の雨。
「…行かなくても、いい?」
最後に一言、付け足してみた。
カナちゃんと、一緒にいたい。
強い思いが、無気力な私をこんなにも動かした。
はじめて気づいた恋だから。
はじめて、好きになった人だから。
この、一分一秒を大切にしたい。
少しでも長く、カナちゃんと時を過ごしたい。
「……いいよ、分かった。」
カナちゃんは、あまりに穏やかな声だった。
まるで、私がそう言い出すことがわかっていたような、そんな声だった。
「…俺は、マコが後悔しないならそれでいい。」
「……ありがとう。」
それ以上、何も言えなかった。
お母さん、ごめんなさい。
あと4日だけ許して?
お母さんの夢みた高校生活だけど、4日だけ休むね。
4日だけ、麻琴は“マコ”としてカナちゃんのそばにいます。