コルニクス
「なら、空で暮らせばいいのに」
「………」
彼の言葉が理解できなかった。
空で……暮らす?
「もしもーし」
視界いっぱいに彼の手が左右する。
「…空で、暮らすって……?」
やっとのことで発した言葉は,
語尾が空飛ぶ艦の音に掻き消された。
「要は空族になればいいんだよ」
「くうぞく…?」
自分の目に光が灯ったのが分かった。
「空で生活する、なんてこと、できるんですか!!?」
「え、あ、うん。勿論」
夢のようだ…ってこういう時に使うんだ…。
「つかまって」
青年は、小型飛行艇を逆さに担ぎ上げている。
落ちた衝撃でどこかしらが壊れ、正常飛行ができないらしい。