コルニクス

空を見上げると、インペラートルは煙をあげながらも飛んでいた。

ユピテル・ファミリアの艦隊は、撤退命令が出たのか、皆帰って行った。

白い飛行艇が突っ込んだ艦は見当たらないから墜落したのだろう。

クリュさんがこっちに向かって歩いてくる。

あ、お礼、言わなきゃ…

パシン────────ッ!!

いきなり左頬に走った激痛。

強制的に右を向く私の顔。

平手打ち。

かなり痛いです、クリュさん。

「逃げろっつったら逃げろよ!!」

クリュさんが怒鳴る。

こんなクリュさん初めて見た。

いつも余裕があって、何をするにも完璧で、いかなる時もクールで大人で。

そんなクリュさんが、怒鳴った。

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