コルニクス

「…おかげさまで」

「?」

クリュさんは何も悪くないんだよ。

そんなことは百も承知だよ。

八つ当たり、よくないよ。

そんなことも百も承知だよ。

「お!自分では兄貴とか言っておいて何かしやがったな!?」

「するか馬鹿」

胸がドキドキする。

このドキドキは、昨日の鼓動とは違う…

自分は今、喜んでいるのか悲しんでいるのかさえ分からない。

私とインペラートルの間を、急降下していった機体。

私の目には留まらず、クリュさんにはサウスポーのコルニクスだと認識された機体。

どうしてあんなにも高速で落下していったものを、
サウスポーのコルニクスだと言えたのか。

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