コルニクス

怪我人が"戦友"じゃなくて"友達"といえる世界ならば、どんなに幸せだろう。

でも、私ごときの力じゃ、なんにもならない。

今までに沢山の人々が戦争を無くそうと励んできたはずだ。

でも戦争が無くならないってことは、戦争を無くすのは無理に等しいものだと、
受け入れざるを得ない状況まで世界はきてしまったのだと、母に教わった。

だから怪我人は、ルナ・ファミリアに戻らなければならない。

そんなことは分かっている。

その事実を心の奥底に留めたまま、彼と接する。

彼は多分、大切な人を作りたくないと思っている。

何者かに人質にとられることを、すごく恐れている。

彼は私を、友達とも、ましてや家族とも思わないだろう。

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